「たけのこ」は美味しく、季節ものの食
材ですが、調理が大変で難しいなどのイ
メージをもっている方も少なくないと思
思います。
それは、あく抜きが大変であることと、
せっかく頑張って調理をしても食べてみ
ると「えぐみ」が残っていて、とても美
味しいとは言えず、食べることも苦痛に
なってしまうように、残念な結果になっ
てしまうこともあるからです。
「えぐみ」が出てしまった「たけのこ」
の「えぐみ」を完全に消しさることはで
きませんが、苦痛に感じる味である「え
ぐみ」を最小限に感じなくする方法はあ
ります。
「たけのこ」の「えぐみ」について、お
話をしていきます。
季節の味わい「たけのこ」?!悪魔のような「えぐみ」について
「たけのこ」に「えぐみ」があるのか、
少ないのかは運にかけるしかないと、半
分諦めている方もいるかもしれません。
「えぐみ」が強くでてしまった「たけの
こ」は、どのようなものなのでしょうか?
「たけのこ」を収穫してから、アク抜き
までに時間が経過したものは「えぐみ」
が強くなります。
収穫後からアク抜きするまでに時間が経
過すればするほど「えぐみ」は、どんど
ん強くなっていきます。
「たけのこ」については、昔から「収穫
しだしたらお湯を沸かしておけ」と言わ
れることが多く、収穫後にすぐにアク抜
きをできるように準備をすることをうな
がしていましたから、それだけ収穫後か
らアク抜きまでの時間が経過することが
味に影響をすることがしっかり分かる言
葉であり表現です。
お店などで購入した場合は、朝採りと表
記されていても収穫後の本当の採りたて
とは限りませんから、収穫後から時間が
経過している場合も珍しくありません。
採りたての「たけのこ」を調理して食べ
ることが一番「えぐみ」のない「たけの
こ」であり美味しく食べることができま
す。
しかし、「たけのこ」を自由に収穫する
ことが出来ない環境の方がほとんですか
ら、お店などで手に入れることが大多数
である思います。
収穫されて市場を通り店頭に並ぶまでに
はどうしても日数が経過してしまいます。
その期間に「えぐみ」が出てきてしまい
ますから、消費者にはどうすること出来
ないことでもあります。
「えぐみ」がどのタイミングから増える
のかについて知っておくと調理にも活か
すことができます。
ポイントは経過時間?!「えぐみ」が増えるのは収穫後から急上昇!
「たけのこ」の「えぐみ」は収穫される
(切り取られる)ことで防衛本能のよう
に「えぐみ」が増加していきます。
このことから、収穫後にアク抜きをする
までに時間が経過すればするほど「えぐ
み」が強くなることになります。
よく「たけのこ」は「収穫したらできる
だけ早くアク抜きをする」と言われる理
由がこのことを意味しています。
この「えぐみ」が強く出てしまった場合
は、アク抜きをしても「えぐみ」が残っ
てしまう確率も高くなってしまいます。
「えぐみ」はシュウ酸と呼ばれるものが
原因で「えぐみ」と呼ばれる苦みを感じ
ます。
このシュウ酸はカルシウムと結合するこ
とで「シュウ酸カルシウム」になります。
「シュウ酸カルシウム」は、食べたとき
に「えぐみ」を感じにくくするする性質
がありますから、これを理解して調理に
(アク抜き)活用をすることで、作った
「たけのこ料理」が美味しく出来上がる
ということになります。
【えぐみ】
料理をしていると、たまに聞くことがあ
る「えぐみ」って実際はどういう味のこ
とか正しく理解をしていますか?
「えぐみ」は味覚の中の一つであり味の
表現でもあります。
簡単にいうと、野菜や山菜「たけのこ」
などによくあるもので「不快な苦み」の
ことです。
苦さにも、苦みを味の一つとして楽しむ
場合もありますが、野菜や山菜、たけの
こを食べたときに感じる苦みは、不快な
苦みであり、味覚の一つとして楽しむ苦
みとは違った、不快な苦みを「えぐみ」
と表現しています。
更に、まとめて表現すると「えぐみ」な
どの不快な成分や味を総称したような表
現が灰汁(あく)のことであり、体に良
いアクと悪いアクがありますが基本的に
は、アクは体に良いものではないという
認識があり、料理の味にも影響を及ぼす
可能性もあるために野菜などに限らず、
お肉を料理するときも含めて、アクを取
り除くことを料理の過程で行うことが通
常です。
【灰汁(あく)】
アクとは、野菜、お肉などの食材に元々
から含まれている成分などで味覚の表現
としては「えぐ味」「しぶ味」「にが味」
などのことを表しているのが「灰汁」の
ことです。
この、アクを取り除くことをしないと料
理の味に影響を与えてしまうことになり
ますし、アクの成分が体にも良くないこ
ともあります。
「たけのこ」の「えぐみ」の少ないものは条件つきで存在する?!
【収穫直後の採れたての「たけのこ」】
まず「えぐみ」は収穫直後から急上昇を
はじめ、収穫から時間が経過するほどに
「えぐみ」である不快な苦みが増加して
くることをお話をしましたが、収穫直後
の「たけのこ」は本当の新鮮なものです
から、不快な苦みである「えぐみ」も、
ほとんどなく、美味しく頂くことができ
ます。
「たけのこ」は鮮度が重要と言われるほ
どで、収穫後からの時間経過が味に影響
を与えてしまう食材ですから、採れたて
の「たけのこ」は、アク抜きも必要ない
場合もあります。
【小ぶりの「たけのこ」】
「えぐみ」がない、少ないと言われてい
る条件がもう一つあります。
それが「小ぶりな、たけのこ」で、アク
抜きをする必要がないものです。
更に、もっと良い条件は「たけのこ」と
して芽が出て間もないほどの小さいもの
は鮮度も抜群で、アク抜きなど必要あり
ません。
「たけのこ」として芽が出て間もないも
のは本当に小さい「たけのこ」で、食べ
る部分も少ないですが、このような小さ
い生まれたてのような「たけのこ」は、
「えぐみ」もなく、当然にアク抜きは不
要であり、そのまま調理をして頂くと美
味しすぎて感動してしまうほどです。
収穫直後の採れたてを手に入れることは
なかなか難しいものですが「たけのこ」
を選ぶときは、極力「小ぶり」なものを
選ぶと「えぐみ」も少なく美味しく頂く
ことができます。
「たけのこ」のアク(えぐみ含む)を少なくする効果的な知恵
先述の通り「たけのこ」の「えぐみ」の
正体はシュウ酸ですから、カルシウムと
合わせて結合をさせることで「シュウ酸
カルシウム」になり食べたときに「えぐ
み」を感じにくくしてくれますから「た
けのこ」のアク抜きのときに、その性質
を利用するために「米ぬか」を活用しま
す。
【米ぬか】
「米ぬか」には、カルシウムが含まれて
いますから「えぐみ」のシュウ酸と「米
ぬか」のカルシウムを合わせて結合させ
て「シュウ酸ナトリウム」になりますか
ら「えぐみ」を感じにくくさせることが
できます。
「米ぬか」がない場合は「お米のとぎ汁」
でも代用ができます。
『米ぬかの良い働き』
また、米ぬかやお米のとぎ汁に含まれる
アミノ酸、脂肪分が「たけのこ」に対し
て良い働きをしてくれます。
それは、旨味を引き出してくれることと
固く仕上がってしまうとせっかくの「た
けのこ」も残念な味わいになってしまい
ますが、このようなことを防いでくれる
ように「たけのこ」の繊維を柔らかくし
てくれる作用があり「たけのこ」を美味
しく頂くには欠かせないのが「米ぬか」
や「お米のとぎ汁」です。
また「米ぬか」の場合は、含まれるデン
プンが「たけのこ」のアクを吸収してく
れますし、お米には糖質が含まれている
ことは知られていることですから、その
お米の甘みが「たけのこ」に加わり旨味
が更に増すことが期待できます。
【赤唐辛子】
赤唐辛子を入れて、アク抜きを行うこと
で「えぐみ」を和らげてくれる効果があ
ると言われていますから、あればあく抜
きのときに入れることで相乗効果が生ま
れます。
【出来るだけ早く】が味を左右?!「たけのこ」アク抜きのタイミング
「たけのこ」を手に入れたら出来るだけ
早く、すぐにアク抜きを行いましょう。
収穫をされていますから、アク抜きをす
るまでに時間が経過すればするほど「え
ぐみ」が強くなり、味に影響してしまい
ますから、アク抜きをしても「えぐみ」
が強いために、残りやすくなります。
これで完璧!「たけのこ」基本のアク抜きの手順
【準備するもの】
・米ぬか(お米のとぎ汁)
1カップほどで少ないよりは多いほう
が良い。
・赤唐辛子(あれば入れる)
2~3本
・鍋
・たけのこ
①「たけのこ」は穂先を5~6㎝ほど切
り落とし、根元の固い部分も付いてい
ればイボのようなものが付いてると思
いますが、その固い部分のイボのよう
なものを茹でる前に削り取るようにむ
いて、そぎ落とします。
※根元の固い部分は、切り落とされてい
る場合もあります。
②「たけのこ」に縦の切れ目を入れます。
「たけのこ」の中心まで切れ込みが入
るか入らないかくらいまで、だいたい
で問題はないので、切れ込みを入れま
す。
※切れ込みを入れる理由は、中心まで火
が通りやすくするためと、アク抜き後
に皮をむきやすくするためです。
③鍋に「たけのこ」を入れて水を入れま
す。
「たけのこ」が、水を完全にかぶるよ
うに水をしっかり入れます。
※お米のとぎ汁を入れる場合は、水の量
は、調整をしてください。
④米ぬかと、あれば赤唐辛子を入れ火を
つけて強火で沸騰するまで煮ていきま
す。
⑤沸騰したら火を弱火にして必ず落し蓋
をして約1時間ほど茹でますが「たけ
のこ」の大きさや量によって時間は変
動します。
※たけのこ全体が、水に浸かっているこ
とがポイントになります。
「えぐみ」の原因であるシュウ酸は、水
に流れやすい性質がありますから「たけ
のこ全体」をしっかり水につけておくこ
とで「えぐみ」を少なくすることにも繋
がります。
「たけのこ」の一部分が水に浸からず飛
び出したりしていると、空気に触れるこ
とで酸化をして色が変色したりする原因
にもなります。
料理は、色も大切で醍醐味でもあります
から、そのようなことを防ぐ意味もあり
ます。
⑥1時間ほど経過したら竹串などをさし
てみて、軽く通るようになったら火を
止めます。
⑦火を止めても、まだアク抜きは終わり
ではありません。
火を止めて茹で汁や「たけのこ」は、
そのままの状態で放置をして、アクや
「えぐみ」を抜ききります。
※「米ぬか」が入った茹で汁に「たけの
こ」をつけたままにしておくことで、
アクや「えぐみ」を抜ききります。
時短でする場合は、1時間ほど(えぐみ
が多く残る可能性もあります)でも良い
ですが時間に余裕がある場合は、8時間
以上(半日ほど)茹で汁に浸けたまま放
置すると、より効果的です。
まさに魔法?!「たけのこ」の「えぐみ」を感じにくくする料理
「たけのこ」が収穫からアク抜きをする
までに、時間の経過が長い場合は「えぐ
み」が強くなっていますから、アク抜き
をしても食べてみると不快な苦みがあり
食べれないこともあります。
時間が経過していることが推測できるの
であれば、料理を思考すれば「えぐみ」
を感じにくくすることもできます。
煮物などの料理にする場合は、アク抜き
が必要になりますし「えぐみ」が強くア
ク抜きをしても残っている場合は、煮物
などにすると味を損ねてしまい、残念な
結果になってしまいます。
【油を使った料理】
油を使う料理をすることで「えぐみ」を
感じにくくして、美味しく頂くことがで
きます。
天ぷらにすると「えぐみ」が強い「たけ
のこ」でも、美味しく頂くことができま
す。
あとは、オイスターソース炒めも「えぐ
み」を感じにくく、美味しく頂くことが
できます。
これらに限らず「えぐみ」がある場合は
油を使う料理をすることで、油でコーテ
ィングをすることができますから、食べ
たときに「えぐみ」を感じにくくするこ
とができ、美味しく頂くことができます。
アク抜きをしても「えぐみ」が残ってい
た場合は、油を使った料理を選択するこ
とで美味しく食べることもできます。
【バター料理】
バターのムニエルなどにすると「えぐみ」
の残ったものでも、美味しく頂くことも
できます。
「たけのこ」を薄くスライスして塩、コ
ショウを付けて小麦粉をまぶして、バタ
ーで炒めると「えぐみ」があった「たけ
のこ」でも独特の風味に変身し、美味し
く食べることもできます。
バターを使って仕上げる料理をすること
で「えぐみ」を感じにくくすることもで
きます。
【木の芽(このめ)】
木の芽(このめ)は、山椒(さんしょう)
の新芽のことで、木の芽炒め(このめい
ため)という料理もあります。
木の芽(このめ)は「えぐみ」を感じに
くくする効果があると言われていますか
ら、木の芽を使った料理をしても「えぐ
み」を感じにくくすることもできますが
油やバターほどの効果よりは、期待でき
る効果は低いかもしれません。
木の芽(このめ)でなくとも食べて「え
ぐみ」を感じて食べれそうにない場合は
山椒(さんしょう)をかけてみると緩和
されて食べることができるかもしれませ
ん。
ほかの料理をしても「えぐみ」が気にな
る場合は、木の芽(このめ)や山椒(さ
んしょう)と共に食べると「えぐみ」が
緩和されます。
まとめ
「たけのこ」は、収穫からアク抜きまで
に時間が経過するほど「えぐみ」が強く
なります。
採れたてや「小ぶりのたけのこ」の場合
は「えぐみ」も少なく、場合によっては
アク抜きも不要で料理をすることもでき
ます。
アク抜き(えぐみ抜き)をするときは、
米ぬかを使って行うと効果的です。
煮て火を止めてから、放置をすることも
重要で8時間以上(半日ほど)煮汁に浸
けたままにすることで、より「えぐみ」
やアクを抜ききることができます。
「えぐみ」を感じにくくする料理は
・油を使った料理
・バター料理
・木の芽(このめ)や山椒(さんしょう)
「たけのこ」は鮮度が大切でもあります
し「アク」や「えぐみ」が強い場合もあ
りますから、料理に使うのは敬遠をしが
ちでもあります。
「えぐみ」やアク抜きについて理解をす
ると、積極的に料理に使いたくなりませ
んか?
季節ものの食材でもありますから、美味
しく頂けるように料理の腕をあげて、家
族に喜んでもらえると嬉しいものです。
敬遠しがちな「たけのこ料理」に挑戦を
してみてはいかがでしょうか?
ここまでお読みいただきまして、ありが
とうございます。
より良い生活の為の、一助になれると
幸いです。